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神谷 潤一郎; 金正 倫計; 荻原 徳男*; 桜井 充*; 馬渕 拓也*; 和田 薫*
Vacuum and Surface Science, 62(8), p.476 - 485, 2019/08
J-PARC 3GeVシンクロトロン(Rapid Cycling Synchrotron: RCS)は1MW出力の陽子ビームの安定供給を目標とした加速器である。RCSではビームが残留ガスにより散乱されてロスをすることを防ぐために、ビームラインを超高真空に維持することが必要であるが、各種原因による多量の放出ガスのため超高真空達成は困難な課題である。これらの対策として、我々はターボ分子ポンプが低真空領域から超高真空領域まで大きな排気速度を維持できることに着目しRCSの主排気ポンプとして選定した。本発表ではこれまで約10年間の加速器運転で得たターボ分子ポンプの運転実績およびトラブルと解決策について総括的に発表する。また、さらなる安定化とビームロス低減のために極高真空領域に及ぶより低い圧力を達成する必要があるが、そのために現在行っているターボ分子ポンプとNEGポンプの組み合わせの評価試験結果、ならびに超高強度材ローターの採用により実現した形状を変えずに排気速度を向上できるターボ分子ポンプの高度化について述べる。
山田 逸平; 荻原 徳男*; 引地 裕輔*; 神谷 潤一郎; 金正 倫計
Vacuum and Surface Science, 62(7), p.400 - 405, 2019/07
J-PARCの陽子加速器は世界最大級である1MWの大強度ビームの出力を目指している。このような強度のビームはわずかな損失でも機器を放射化し、安定かつ安全な加速器運転に支障をきたす。これを防ぐためにはビームを適切に制御する必要があるため、ビームをモニタリングすることが必須である。特にビームプロファイル測定では、ビームの大強度化に向けて非破壊型モニタの実用化が求められている。一つの案としてシート状のガスを用いた非破壊プロファイルモニタが考案されている。しかし、ビーム検出の媒体であるシート状のガスは必ずしも一様に分布するわけではないため、測定されたデータを正確なプロファイルに換算しモニタを実用化するためにはガス分布の情報が必要である。そこで、電子ビームを用いてガスをイオン化し、そのイオンを検出することでガス分布を測定する手法を考案した。本会議では、実現可能性・測定範囲のシミュレーション検討したこと、およびその計算結果を検証する実験を行ったことを報告し、真空科学分野の専門家と議論することで新たなモニタの実用化を目指すことを目的とする。
深谷 有喜; 松田 巌*; 福谷 克之
no journal, ,
近年、その特異な物性の発現から、グラフェンに代表される2次元原子シート物質に興味が持たれている。最近我々は、Al(111)基板上のゲルマネン(グラフェンのGe版)が、理論的な予想に反して非対称なバックリング構造を持つことを報告した。今回、同じAl(111)基板上においてシリセン(グラフェンのSi版)も作製できることがわかった。本研究では、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)を用いて、同じ基板上で作製されるシリセンとゲルマネンの構造の差異について報告する。Al(111)基板上のシリセンとゲルマネンから測定したロッキング曲線は、強度の違いはあるものの似通った形状を示した。このことから、両者は類似の構造を持つことが推測された。動力学的回折理論に基づく強度解析の結果、シリセンはゲルマネンと同様な非対称なバックリング構造を持つことがわかった。
矢野 雅大; 寺澤 知潮; 保田 諭; 町田 真一*; 朝岡 秀人
no journal, ,
Si(110)-162再構成構造上での異方的なSiの拡散係数の比を酸化膜分解過程で成長するボイドを走査型トンネル顕微鏡を用いて詳細に観測することで明らかにした。ボイドの拡大速度の異方性はボイドの深さに依存し、ボイドの底面から酸化膜までSiが拡散する過程で異方性が小さくなることを示唆した。このボイド側面でのSiの拡散を含むシミュレーションを行うことで162再構成構造のステップ列平行方向への拡散係数が、その垂直方向より約3倍大きいことを明らかにした。
長谷川 友里; 本田 充紀; 鈴木 伸一; 矢板 毅
no journal, ,
放射性汚染土壌の減容は、環境回復における重要な課題の一つである。土壌を構成する鉱物の中でも風化黒雲母(WB)において、セシウムが固定されやすいことが報告されている。これまでに、WBとアルカリ塩(NaCl-CaCl)との混合加熱により(溶融塩法)、WBからのCsの脱離と、WBとは異なる種類のケイ酸塩結晶の成長が報告された。これらの結晶のいくつかは、機能性材料としての利用が期待される。汚染土壌からの選択的な合成に向け結晶成長因子の理解が重要となるが、WBは風化および未風化黒雲母の混合相であるため、結晶成長因子の決定が困難である。そこで本研究では、未風化の黒雲母を対象とし、黒雲母の粒形やアルカリ塩の混合比が結晶成長に与える影響を調べた。XRD計測の結果、粒形が2mの黒雲母において、NaCl:CaCl=1:1の場合にはFeO, Pyroxene, Wadaliteが形成されたのに対し、75mの場合やNaCl:CaCl=7:3の場合にはpyroxeneの成長は抑制されていることがわかった。本研究により、アルカリ塩の混合比が選択的な結晶成長に有効である可能性が得られた。
寺澤 知潮; 小幡 誠司*; 保田 諭; 斉木 幸一朗*; 朝岡 秀人
no journal, ,
単層の炭素六員環シートであるグラフェンは、高い電子移動度や光透過性などの特性から次世代半導体材料として注目されている。Cu基板上における化学気相成長(CVD)法ではCuの炭素の固溶度が低いために単層のグラフェンを選択的に作製できる。我々は低放射率(0.1程度)のCu基板上でグラフェン(放射率0.023)が成長する様子を熱放射光の顕微観察により可視化する熱放射光学顕微鏡を開発した。本手法によって104Pa程度の全圧下でのグラフェン成長機構を議論できる。AuはCuと同様に炭素固溶度が低いが、Au基板上でのグラフェンCVD成長は報告例が少なく、その成長機構は明らかでない。本研究では熱放射光学顕微鏡によって放射率が低いAu基板上でのグラフェンCVD成長をその場観察することで、グラフェン成長機構の解明を目指す。【結果】 表面を清浄化したAu箔を900Cで加熱し、Ar, H, CHの混合ガスを供給した際の熱放射光の顕微像をFigure (a)に示す。暗いAu基板上に明るい領域が観察された。同一箇所におけるグラフェンに特有のRaman 2Dバンドの強度をFigure (b)に示す。Figure (a)と(b)の形状から、Au基板上の明るい領域はグラフェンであると言える。以上から、熱放射光学顕微鏡によってAu基板上でのグラフェン成長をその場観察できることが示された。